実務的な中小企業の決算の見方

 これまで仕事柄、中小企業の決算書を数多く見てきました。

 企業の経営状態としていいのか悪いのか、どのような部分に問題があるのかなどを見極めるには、決算の状況をしっかりと把握する必要があります。

 ただ、決算書を見るといった場合、どうしても「安全性がどうか」「成長性は有しているか」など、指標を用いて分析しましょう的な教科書が多いように思います。

 しかし、

  「実務的には、そんな指標なんか、考えていない」
  「計算式ももう忘れちゃった」

というのが、本音です。

 そこで、これまでの経験から、どのようなポイントで、決算書を見るのか、ランキングベースで説明をします。

利益

 何よりも、黒字で利益が出ているのか、赤字ではないかなどがポイントになります。
 とはいえ、利益としても、いろいろとありますが、「営業利益」「粗利(売上高総利益)」あたりを中心に見ます。経常利益・税引前当期純利益など、他の利益もありますが、事業としても儲けているかどうかが重要なので、営業利益と粗利を最も重視してみます。

売上高の変化

 売上高としては大きいほうがいいのですが、それだけではいいのか悪いのかは分からないことが多いです。
 そこで、売上高が増えているのか、減っているのかで、経営状態がどうであるのかを判断します。

借入金

 借入金がなければ問題はないのですが、借入金があるのでしたら、多いのか少ないのかを見ます。
 また、中小企業では、役員借入金も多いので、そのあたりもチェックします。もし、借入金が多くても、それらが役員借入金ならば、返済はあまり気にしなくてもいいからです。

 4  グロスキャッシュフロー

 グロスキャッシュフローとは、当期純利益に減価償却費を足し合わせたものです。

  グロスキャッシュフロー = 当期純利益 + 減価償却費

 この指標で、ざっくりと、お金が増えているのかどうかを見ます。利益が赤字であっても、このグロスキャッシュフローがプラスならば、とりあえずはお金が増えているので、問題はないと考えます。

 ただ、このグロスキャッシュフローから、借入金の返済も必要なので、もう一度、借入金を見直したりもします。

 5  現預金

 資金繰りを考えると、現預金として、どの程度の余裕があるのかを見るため、この残高をチェックします。

 当然ながら、決算の一時的な残高であるため、年度途中の資金繰りはここからは分かりませんが、あまりにも少ないと問題であるため、チェックが必要です。

6 粗利率(売上高総利益率)

 この6位という段階で、利益率が出てくるのは、意外かもしれません。教科書的にはもっと前にでてくるものもあるでしょう。

 ただしっかりとした理由があります。上記の5位までは、経営状況がうまくいっているかどうかを判断するためのものです。

 そして、経営状況を踏まえたうえで、「どうしていくべきなのか」を考えるためには、粗利率の確認ということになります。

 業種によっては、ある程度分かるものもありますが、詳しくない業種だと変化などを見たりもします。

 7  費用

 利益をアップさせるための一番の方法は、コストカットです。
 そこで、費用について、大きな費用は何か、販管費などを見たりしながら、チェックします。大きな費用については、当然ながら、改善の優先順位が高くなります。

 8  (現預金以外の)流動資産

 売掛金・受取手形・在庫などが多いと、資金繰りが悪くなったりします。また、実は売掛金などで貸倒れしていたり、在庫で陳腐化しているにもかかわらず、処理がなされていないことがあります。

 そうすると、本来は費用処理すべきなのにされていない、実質債務超過の可能性もあるということで、チェックを行います。

 これまでの経験から、中小企業の決算書を見るにあたり、まとめたチェックランキングです。

 時々、指標なども使いますが、「固定長期適合率」などといった小難しいものは使いません。

 また、網羅的にチェックするのではなく、まずは経営状況の現状把握を行い、その上でどのように改善していくかという形で、チェックを行っています。

 あくまでも、私の経験ですが、指標を暗記するよりは、遥かに役に立つのではないかと思います。

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